【サイモアの詳細な紹介】

幼い頃より、自分とザナン人の価値観との齟齬に悩まされ、周囲全てに激しい劣等感を抱いており、
長じて兄、ザナン国、及び世界を憎悪するようになるが、
迫害されているエレアと、謎に満ちたヴィンデールの森に不完全な存在である自分を重ね合わせ、
森への偏見をぬぐい去り、共存の道を探ることで世界を変えられると信じ、研究するようになる。
しかし成果はなかなか思うようには上がらない。

戦災孤児や恵まれない者達への援助活動を積極的に行っていたサイモアだが、
十歳過ぎの頃、港町アルティハイトにて、同年代の少年とエレアの少女が、迫害に耐える姿を目撃した。
その後も必死に支え合って生きている兄妹の姿を、苦悩する自分の立場を投影し、同情し、憧れ、
兄妹に姿を現さず、「アルティハイトの妖精」と名乗り、密かに援助するようになる。

その少年ヴェセルが努力によって、夢のような出世を果たして行く様を、
また迫害対象である少女エリシェが、嘲りや嫌悪の視線に毅然として立ち向かい、
無私の愛でヴェセルを支えて行く様を見て、二人の幸せを願い、癒されて行くのであったが、
七年後、エリシェが死んだ事件ののち、絶望したヴェセルも地位を捨て国を出奔したため、
心の拠り所を失ったサイモアは以前にも増して激しく世界を憎むようになる。
世界を変える為の地道な努力をかなぐり捨て、権力により変えていかねばならぬと思い定め、
兄を事故に見せかけ、崖から突き落とし暗殺する。(兄は生き延びている)

しかし兄を殺して権力をつかんだ瞬間、罪悪感と共にこれまで彼が掲げてきた信念が脆くも崩れ、
全ては兄とザナンの価値観を否定する為の偽善に過ぎなかったのだと思い込み、絶望する。
ザナンの後継者となったが、結局、存分に権力を行使する事は出来ずにいた。

森の研究を続けていたサイモアと、エレアでありながらザナンの高官として高い地位を持つ
ヴァリウスは、互いの利害の一致により共同研究を行い、遂に森の謎を解き明かす事に成功する。
サイモアは、世界に復讐するため、世界の生命線である異形の森を消し去る計画を練る。
自分の地位と研究者としての知識を利用し、エレアと森を殲滅するための効果的な迫害工作を進め、
折り良く森の拡大現象により被害と風評が広がる中、虚偽の持論を展開していった。

各国に働きかけ、ヴィンデールの森掃討作戦の地盤固めは順調に進むが、障害が残る。
ノースティリスのパルミア大国は永世中立国を標榜しており、
さらに以前よりエレアと森に対する関心が薄く、
また、現王ジャビはエレアと個人的親交があり、ヴィンデール掃討に消極的姿勢を執っていた。
パルミア国王の地位は、形骸的王権であったが、ジャビ王は聡明な武人で政治手腕にも優れ、
民にも慕われている。世界を共犯とする事に重きを置くサイモアは、パルミアへの遊説と、
王への直談判による圧力で、協力させようと試みる。

精鋭部隊を率いてパルミア国へ遊説するサイモアにはもう一つの懸念があった。
パルミア国の偉大なる遺跡、レシマスの秘宝に関して重大な情報が手に入ったのである。
レシマスの秘法とは、権力者達が塗り潰した偽りの歴史を暴き、
全ての正史を詳らかにするものであるというのだ。
自分の企てが、その「秘法」によって暴露されてしまっては努力が水の泡である。
サイモア自身は真の歴史にいくばくかの興味も抱けなかったが、
レシマスへはパルミア国だけでなく二大国エウダーナ・イェルスが積極的に調査団を送り込んでおり、
危惧を覚えたサイモアは、パルミアへの遊説の際、宿営をレシマス付近に置き、
かの遺跡への密偵を遣わし、他国の調査隊の妨害工作、ならびに殺害を命じていた。

また、ヴァリウスの助けによりエレアの偉大な記録からの知識を得、森の真実を解き明かしたが、
ヴァリウスより、ヴィンデールの森のごく一部の偉大なる知恵者が、同じように解き明かす
可能性もあると示唆され、また、ヴィンデールの森が、手練の使者を
パルミアへ遣わしているらしい報も寄せられる。
サイモアは、パルミア付近に出没するエレアを抹殺するための部隊も、密かに動かしていた。
しかし、森の使者の暗殺には失敗し、パルミア王との会談を、合同で行う運びとなる。

その夜、失踪後捜索させていたヴェセル拘束の報が入り、さらにパルミア王との会談では、
森の使者のエレアの女がエリシェに生き写しである事に衝撃を受ける。
これは運命の導きであると確信したサイモアは、己の計画の成功を全うするために、
戦争に加担しないとの考えを変化させないパルミア王を殺害し、
詳細なエーテルの真実を知らないと思われる森の使者を犯人に仕立て上げる筋書きを描く。

ヴァリウスとの連携により、潜んでいた使者達を秘密裏に拘束する事に成功したサイモアは、
エリシェを思い出させる女、ラーネイレとの会談を望む。
目の前の女に、何故かわからない感情に動かされるまま、自分の過去と、森の真実を語るサイモア。
最初は敵対心を現していたラーネイレの、自分の話に対する真摯な態度と、
思いやりの言葉に驚き、心を動かされたものの、サイモアの「運命の歯車」はとどまらず、
計画を実行する事となる。

ザナンに帰還し、他国からの妨害もなく、自説の障害となる報ももたらされず、
協力各国の軍がカルーンを包囲し、着々とヴィンデール掃討作戦が実行に移されようとする中、
事後処理をヴァリウスに託し、サイモアは全てを捨てて王宮を旅立った。

(編注)
その後どうなったのか、第一部では明かされていませんが
当初皇子が予想していたように、外見的特長からすぐに捕らえられるような事は無く、
自殺なども考えず、頑なな心を抱えたまま、いずこかへ潜伏しているとの事です。

  • 最終更新:2014-02-05 02:02:46

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