会話集『後編』

メインクエストイベント全集〔後編〕  会話集『前編』
メインクエストイベント全文・会話集後編です。
完全なスポイラーとなっており、ゲームの楽しみを損なう可能性もございますので、
十分御留意下さい。


カルーンの冒険者

(レシマス17層にてカラムを発見し、話しかける)

カラム「…貴公は?そうか、エリステアが私を探すために…
見ての通り私は傷を負い、もう動くことすらできぬ。
しかし、貴公のおかげで、今まで生きながらえたことに意味を見出せるようだ。

貴公にお願いする。エリステアに、私の言葉を伝えてもらいたい。
信じがたいことだが、レシマスの奥深くに眠る秘法を守護しているのは、
今は亡きザシム王の従弟ゼームだ。
秘法の、いやレシマスの魔に操られているのだろうか。もはや生身の人間ではあるまい。

それだけではない。ザナンのサイモアが秘法を狙っていることは知っておろう。
しかし、その理由は?

ゼームが持つ秘法の名は《常闇の眼》。世界の真実を映すといわれている。
レム・イドの終焉とシエラ・テールの始まりを説き、
自身の説に莫大な支持を得ているサイモアが、今更秘法を求めるのは何故だ?

サイモアの後押しにより、エレアとの戦が始まろうとしている。
異形の森がレム・イドの災厄《メシェーラ》であるというのは、果たして確かなのだろうか。
そして、もしサイモアの説が偽りであるとすれば、かの者の本当の目的は?
…私には悪い予感がする。

私の役目はこれまでだ。この傷ではどうせ地上まで辿りつけまい。
この報せを早く都に…貴公に運命の神の加護のあらんことを!」

(カラム死亡)


カラムの遺言を報告


エリステア「’プレイヤー’、あなたの帰還を待っていました。
カラムは無事に…いえ、その顔を見れば想像はつきます。私達の救助は遅すぎたのですね…。

…カラムの言葉、確かに受け取りました。
《常闇の眼》という古宝の伝承は、私も本で読んだことがあります。
それは、イルヴァの大地の上に築かれた全ての歴史の真相を網羅していると伝えられています。
もしカラムが危惧していたように、ザナンのサイモアが自らの説の誤りを葬らんとするため
レシマスの秘法を狙っているとしたら、私達はそれを阻止しなければなりません。

…王の悲報はもう耳にしているでしょう。
都の土は涙で濡れていようとも、今の私達に喪に服している時間はありません。
カラムと、そして王の意思を継ぐためにも。

あなたの次の任務は、三つの魔石の入手です。
魔石には、レシマスの秘密を解く何らかの力が秘められていると伝えられています。
魔石の所在は判明していますが、どこも危険な場所ばかり。
まずは、各地を探索し、経験を積んでから臨んだほうがいいでしょう。

探索に必要な情報がある時は、いつでも私に話しかけてくださいね。
帰還したばかりなのに酷ですが、あなたに期待しています。」

レシマス17階の鍵を受け取った。



魔石のありかについて

エリステア「古城の宝物庫には、数々の財宝とともに《覇者の魔石》が眠っていると伝えられています。
ヴェルニースを南に下った閑静な森の中に佇むこの城は、古の王族により建てられました。
しかし王都がパルミアに移り、廃墟となった城は、長らくならず者の拠点として使われるように…

一世紀前に《古城の主ワイナン》が占拠してからは、
ダルフィの悪漢でさえ近づかない恐ろしい場所として知られるようになりました。
危険度はレシマスの17階相当です。

噂では、《ワイナン》がまだ生きて王座に君臨しているとか…
彼は生粋の戦士で、その手に持つ槍斧《ランキス》は相対するものの生命を吸い取ると怖れられています。
地獄への耐性か、間合いをとる手段なくして彼と対するのは賢明とはいえませんね。」


エリステア「パルミアを出て北の未開の地を越えていくと、真紅に燃え盛る灼熱の塔が見えます。
この塔の守護者、《赤き義眼のクルイツゥア》と呼ばれる魔女が、《賢者の魔石》を所持しているはずです。

《クルイツゥア》の強力な魔法だけでなく、
彼女の僕であり夫である《鋼鉄竜コルゴン》の力も恐るべきものです。

言うまでもないですが、この塔を探索するには、何らかの手段で火への耐性を得る必要があるでしょう。
もし体力を失っていくようであれば、耐性を高めてから挑戦したほうが無難です。
危険度はレシマスの15階相当です。」


エリステア「《愚者の魔石》が眠っているとされる死者の洞窟は、最も危険な場所です。
多くの名のある冒険者が命を落とし、不死者となりこの洞窟の中をさ迷っています。

魔石はこの洞窟を支配する《闇の奇形イスシズル》が身に着けているはずです。
死霊術使い達に崇められ、その名は大陸中で畏怖されていますが、
《イスシズル》の姿や力は、全くの謎に包まれています…

死者の洞窟はヴェルニースとパルミアを結ぶ街道の中ほどにあり、
危険度はレシマスの25階相当です。
万全に準備を整えていく必要があるでしょう。」



スターシャ「"王の悲報にパルミアは衝撃を受けています。
あの方のいない王座は、なんと冷たく感じられることでしょう…」



ヴェルニース郊外


ロミアス「駄目だ。ヴェルニースには入れない。街中が異形の森の魔女の噂でざわめいている。
ヴィンデールへの支援を断ったパルミアの王を、会談の席で邪悪な術を使い殺したなどと。」

セビリス「サイモアの狙いは明らかだ。
世界の反感を買った我々を、異形の森へと追い詰め、戦争の口実にしようというのだろう。」

ロミアス「戦争だと?エレアの民は殺しあうための武器も愚かさも持たない。
争いを避け森に篭ればそれも不信の対象となるなら、我々の居場所はどこにある。」

ラーネイレ「サイモアの狙いが分かっていても、私達は森の皆に警告をしなければ。
でも、その前に行くべき場所があるわ。
サイモアは、森の秘密が知りたければ彼の研究所を探せと私に告げた。」

ロミアス「わざわざ奴のもとへ出向くのか?」

ラーネイレ「彼は、ヴィンデールの森がメシェーラを抑止していると言っていた。
その証拠を掴めたら、あるいは私達にも望みが残されているのかもしれない。
それに…うまく言えないけど、彼もまた待っているような気がするの。私達の出す答えを。」

セビリス「では、目的地はザナンだな。懐かしくはないか、ヴェセル。」

ヴェセル「…」



船上


セビリス「よく飽きないものだ。海のかなたに何が見えるのか。」

ラーネイレ「あら、セビリス…ええ、森に残っている皆のことを思っていたの。
私とロミアスは、多くの期待を背負って故郷を発った。彼らの喜ぶ顔を見るのが楽しみだった。
旅がこんなに長く苦しいものになろうとは…あなたも巻き込んでしまって、ごめんなさい。
それから、船を用意してくれたお礼を。」

セビリス「礼にはおよばない。ザナンとは多少の遺恨がある。
私は自分の意思で旅に加わった…
そしてヴェセルにも、あの男自身の理由があり着いて来ているのだろう。」

ラーネイレ「あなたは、彼のことに詳しいようね。
…ヴェセルはいい人よ。初めは近寄りがたい雰囲気があったけれど、私達を身を挺して守り、
苦しい時には励ましてくれる。あのロミアスでさえ、彼に対する考えを改めているわ。
でも、彼の優しい笑顔は何故か哀しい。
何かを訴えていて…そして諦めているような…
時に、心を他人に隠すための仮面のように冷たく感じる。」

セビリス「世の中には不器用な者がいる。
彼自身の問題を、彼以外の誰も解決できないことを知り、
他人の共感や慰めで誤魔化すことができない者。
ある者は、閉ざされた壁の裂け目に差し込む一瞬の光を待ち、
ある者は闇に身を任せる。ヴェセルがどうかは、私にはわからない。」



野営地


ヴェセル「まだ、起きていたのか。」

ラーネイレ「ヴェセル…考え事をしていたの。
森のこと、エーテルの風のこと、サイモアの思惑、私達の行く末。
まだ何も答えは見つからないけれど。」



ヴェセル「君の横顔はエリシェを思い起こさせる。」

ラーネイレ「前にもその名を聞いたわ。あなたの、大切な人?」



ヴェセル「彼女もヴィンデールの森の民だった。血は繋がっていないが、ザナンの港町アルティハイトで、
私達は家族のように互いを慕い、力をあわせて暮らしていた。…こんな話は君にとっては退屈だろう。」

ラーネイレ「いいえ、続けて。あなたのことが知りたいの。」



ヴェセル「…あの頃はイェルスとエウダーナの戦火が、至る所に飛び火していた。
まだ幼かった私は、あることをきっかけに失意と虚しさを抱えていた。
戦災孤児を乗せた船に紛れ込み、アルティハイトへと向かったが、行き先はどこでもよかった。
ただ故郷から離れることさえできれば。エリシェに出会ったのは、アルティハイトの港の船着場だった。

彼女は冷たい蔑視の目と誹謗の言葉に囲まれていた。
船内で流行った病の原因が彼女だというくだらない当て付けで、孤児院が受け取りを拒否していたんだ。
エリシェは毅然として、群集の悪意の眼差しにただ耐えていた。
まるで、そのような仕打ちを受けることに慣れているかのように。
気がつくと、私は彼女の前に立ち手をとっていた。

私達は港の倉庫に寝床を設け、働き、その日の飢えをしのいだ。
見ず知らずの街で二人の子供が生きていくのは、口でいうほど楽ではない。
しかし、エリシェのために懸命に働くことで、いつしか私の失意も和らいでいった。
そして…不思議なことが起こり始めた。

礼拝の日の朝が来る度に、窓に革の袋が置かれているんだ。
袋の中には、硬パンや上等なチーズ、少々の金貨、時には衣類や薬品まで入っていた。
誰かが、私達に陰から手を差し伸べてくれていた。
革袋を運んでくる男に尋ねても、彼は「アルティハイトの妖精」の使いだと答えをはぐらかした。

妖精の正体があの男だったのか、あるいは他の誰かだったのかはわからない。
だが、その人は気付いていただろうか。
妖精が私達に運んできたのは、パンや金貨だけではなく、暖かい希望の灯だったことを。
私とエリシェはその明かりを頼りに、アルティハイトでの苦しい時期を乗り切れたんだ…」



思い出


ヴェセル「アルティハイトに来る以前、私はアテランという士官学校にいた。
アテランは少数の優れた者が才能を磨くための施設だった。
彼らにとっては力こそが全てだ。他人は全て敵であり、自らを押し上げるための道具に過ぎない。
弱者を踏み台にすることに、何の躊躇いもない連中だ。…そして、私もそんな人間の一人だった。
私は知らずに、あるいは知っていても何の抵抗もなく、多くの人を傷つけていた。高慢で冷酷な男だった。

ある時期、私はひどい病に倒れ、アテランを出ることになった。
たった一人の身内だった弟の献身的な介抱により、一命は取り留めたよ。
だが、二ヶ月が過ぎて外に出た私には、世界がこれまでとは違って映った。

何故か急に、他人から向けられる視線が、悪意と軽蔑で満ちているように感じられた。
子供の目までが、まるでアテランを出た私が何の価値もない人間だと訴えているようだった…
もちろん、彼らにそんな気は全くないだろう。
私自身の考え方が、他人の目を鏡にして、私自身を脅迫していたんだ。
私はその時になって初めて、自分の醜さに、人間性の欠如に気付いた。

…私は変わろうと努力した。
だが、心の平安を見出そうと皆に混じり、村の活動に従事しても、
アテランにいるはずだったもう一人の自分がそんな姿を嘲笑し、アテランに戻るようそそのかすんだ。
私はおそらく今でさえ、アテランで築かれた価値観を拭い切れていないだろう。
…数年もすると、矛盾した心の戦いに疲れた私に残っていたのは、喪失感と、
ただ自分を消し去ってしまいたいという思いだけだった。
それが故郷を出た理由だ。

エリシェは私が知るどの人間とも違っていた。彼女は、君ほど綺麗な女性ではなかった。
だが、あの瞳…全てをあるがままに受け止め、許し、受け止めてくれる…
あの純粋な瞳を君も持っている。
…アルティハイトでの日々は、いつまでも私の心の大きな部分を占めるだろう。
エリシェはあらゆる意味で、私の生きている理由だった。

彼女を守り、幸せにするという名目で、私は再び過去の自分を受け入れることができた。
他人を道具のように利用し、出世のために蹴落としたとしても、
彼女のためだと言い聞かせることで自分を保つことができた。
私は、私の戦いをエリシェに任せてしまっていたんだ。
そして、アルティハイトで七年余りを迎える頃、私はザナンの将校の末端にまで上り詰めていた…」



エリシェ


ヴェセル「あの日は…涼しい秋の夜だった。エリシェと供に、芝居を見に行っていた。
くだらない内容だったが、今でも覚えている。あの日のことは、何も忘れることができない。

芝居から帰る途中、近くの貴族の邸宅から煙と叫び声があがったんだ。
私達が駆けつけた頃には、まだ火の手はさほどでもなく、皆で中にいた者達を助け出していった。
エリシェは最後まで、残っている者がいないか声を出していた。
そして…突然、出口で木の支柱が彼女の上に崩れ落ちた…

私はすぐに駆けつけ、柱を持ち上げようとしたが、一人の力では無理だった。
助けを借りようと振り向いた私が見たのは、脅えたようで、残酷で、冷たい傍観者達の目だった。
彼らは、自らの命を救ったエレアの娘を見殺しにしようとしていた。
しかし、私に彼らを責める資格はあるだろうか。
もし助けを求めるのが地位を争う相手であったならば、
私は、彼らと同じ態度をとらないと言い切れるだろうか。
…やがて、炎は全てを焼き尽くした。

私は夜が明けるまで地面に頭をたれていた。
何もかも黒い炭になった瓦礫の下から、エリシェの骨が見つかった時、初めて頬に涙が伝った。
…私の時間は、その時から止まってしまった。」


レシマス踏破へ


エリステア「遂に三つの魔石を揃えたのですね。
私達の調査によれば、魔石はレシマスの秘法の間への扉を開く鍵となるはず。
しかし、レシマスの奥深くには恐ろしい魔物が巣食い、その場所が何階にあるかまでは判明していません。

あなたの任務…おそらくは最後の任務は、決して易しいものではなく、失敗も許されません。
レシマスの探索を進め、秘法の間を見つけてください。
そして、《常闇の眼》を地上に持ち帰り、ザナンの陰謀を阻止するのです。

カラムの言葉が正しければ、秘法を守るのは今は亡きザシム王の従弟ゼーム。
ゼームは名うての魔術師としても知られていました。
彼が生きながらえているのも何らかの魔力によるものでしょう。心して望んでください。

あなたの働きには、感謝の言葉だけでは報いきれません。
この指輪は、スターシャ様からの贈り物です。あなたの冒険の成功を祈っています。」

レシマス25階の鍵を受け取った。

      

ザナンの研究所


ロミアス「ここがサイモアの研究所か。見たところ人影もないし、機具も長い間使われていないようだ。
我々の求めている情報が残っているといいが。」

ヴァリウス「残念ながら、あなた方の探している「証拠」はこの施設にはありませんよ。」

ラーネイレ「あなたは…」

ヴァリウス「もっとも、証拠が残っていたとしても、今更エレアの言葉になど誰も耳を傾けないでしょう。
ご心配なく。あなた方の邪魔はしません。私は、ヴィンデールの森の真実を伝えに来たのです。」

ロミアス「ヴィンデールを裏切り、我々をおとしいれた者の言葉を信じろと?」

ヴァリウス「信じるかどうかは、あなた次第。無駄な画策のために貴重な時間を削るつもりはありません。
私は、同じエレアの血を分かつ者として、あなた方の置かれた境遇に同情さえしています。」



ヴァリウス「レム・イドの文明について、あなた方はどれだけのことを知っていますか?
レム・イドは、エイス・テールの物質主義を克服し、
星と三百年後の子孫のための社会を築き上げた理想の文明だと言われています。
国家を超え、理念で結ばれた様々な共同体が存在しており、
多くは助け合いや他者への奉仕、自然との共生を謳っていました。

その中に、ユタスと呼ばれる異質な共同体がありました。
厳密にいえば、ユタスは共同体ではない。
幾多もある他の共同体に適応できない社会の分子の総称です。
他人との関係を結べない者、異常な欲望を持つ者、孤独を好む者、モラルの欠けた者、物質主義者、
どの共同体にも属さない彼らはユタスと呼ばれ、
表には現われないものの、社会から忌み嫌われていました。

私達がエーテルと呼ぶ物質は、レム・イドの末期に偶然発見されたものです。
生化学の発達したレム・イドでは、エーテルは様々な薬品に化学変化をもたらす貴重な資源でした。
何より、樹木から採取されるエーテルは環境に無害であり、レム・イドにとって理想的だったのです。

エーテルの発見により、ユタスの立場にも変化がありました。
エーテルの採取は《星の収穫》と呼ばれ神聖化されていました…
そして、ユタスの商人は、広大な土地を各地に持っていた。
多くのユタスが《星の収穫》を通じ、傷つけられた自尊心を取り戻し、
レム・イドに自らの居場所を見つけたのです。
それが、忍び寄るメシェーラの脅威から目を背ける結果になるとは知らず…

メシェーラがどのように発生したのかは、今でも謎のままです。
確かなのは、エーテルが森の免疫システムを担っていたことと、エーテルの生産により弱った森が、
メシェーラと呼ばれる生命の格好の餌食だったことです。
その前兆は己の立場を失うことを恐れたユタスに隠され、世界が事実に気付いた時はもう手遅れでした。

森を「喰った」メシェーラは徐々に根を広げ、元来の生物が住めない環境を作り出した…
メシェーラに寄生された植物が生み出す空気の中では、イルヴァの生命は生きていられなかったのです。
レム・イドの文明は、緩やかに死を迎えようとしていました…」



森の真実


ヴァリウス「世界の東に位置し、原生林に覆われた大地のみが、メシェーラの侵食に耐えていました。
人々は森を「希望」の意味をもつ「ヴィンデール」と呼んだ…
そして長い歳月がたち、最後の人類の知識や文化が失われて行く中、
ヴィンデールはその名の通り奇跡を起こすのです。

木々の免疫であるエーテルが急速に発生し、ヴィンデールの森から風となり、大陸に吹き荒れた。
そう、エーテルの風です。
エーテルの風は、メシェーラに侵された木々の本来の免疫力を高め、メシェーラの力を押し込めて行きました。
そして、世界はエーテルを生むヴィンデールの森と、
それによりメシェーラの力を弱められた外の森という、異なった自然を持つようになった。
これが、今のイルヴァの環境です。

ヴィンデールの森の奇跡と供に、レム・イドの文明は終わりを告げ、シエラ・テールの時代が始まりました…
しかし、人間には苦しい決断が必要だった。
時が経つにつれ、森と外部の境界線に暮らす人間の中に、外の環境に適応できる者が生まれ始めたのです。
そして、外の環境でしか生きられない者も。後の世界がどうなったかは、あなた方がご存知の通り。

…これが森の真実です。
エーテルの風を生むヴィンデールが消滅すれば、
やがて本来のメシェーラが作り出す環境はイルヴァの生命を滅ぼすでしょう。」

ロミアス「森の真実とやらはわかった。そして、もう一つの疑問を理解するのはより困難になったぞ。
イルヴァの大地を変えることに、いったい何の意味がある?
ヴィンデールを蔑んだ者への復讐か、だが、全ての生命が滅んでしまえば無駄なことだ。」

ヴァリウス「復讐ではない。戒めであり、「きっかけ」なのです。
それに、生命が滅ぶこともない。救いは既に手の内に秘めてあります。

私は、未だにレム・イドの文明こそ理想的だと思っています。
ただ、友愛という弱い理念では、ユタスを最小限に抑える文明は築けない。
ユタスを克服するには、もっと明確で強い文明の意志が必要です。
時が来れば、あなた方も理解するでしょう。
この計画に、ヴィンデールの犠牲という代償が必要だったわけを。」



皇子


ヴェセル「セビリス、前々から尋ねようと思っていた。あなたは、なぜ私のことを知っている?」

セビリス「…私はかつてクラインという名を持っていた。
聞き覚えがあるだろう?ザナンの継承者であり、サイモアが殺し損じた男だ。」

ヴェセル「では、あなたは自分がザナンの真の王だと?…それは興味深い。
だが、私の問いの答えにはなっていない。」

セビリス「一人の少女が、全ての「きっかけ」だったのだ。
アルティハイトの小雨を受け、街灯の光を散らす地面、エレアの少女を取り囲む残酷な人々の視線、
そして躊躇うことなく少女を庇った金髪の美しい青年。
あの瞬間から、エレアの娘は弟の…サイモアの希望となり、白き鷹は彼の憧れとなった。」

ヴェセル「エリシェ…」

セビリス「お前達が幸せに暮らすことが、サイモアの望みだった。…そして救いだった。
実力主義のザナンの中でさえ、身よりもなく、エレアの娘という足枷をひいた者が、
宮廷に仕官する夢物語を実現させることは難しい。
それは、お前がよく知っているはずだ。」

ヴェセル「…アルティハイトの妖精、か…サイモアが。」


ラーネイレの心


ロミアス「カルーンの国境はすぐ目の先だ。順調に進めば、ヴィンデールまで三日もかかるまい。」

セビリス「森へ帰り、その後はどうするつもりだ?
我々の力では、ザナンの侵攻を止めることはおろか、遅らせることさえ難しい。」

ロミアス「森の民に警告を伝える。
彼らは脅威の影が忍び寄っていることにさえ、まだ気付いていないかもしれない。
その後は、私にもわからない。故郷を奪われるのは辛い。
だが、ある部分では、好きにさせればいいとも思っている。
それが後に、森を滅ぼそうとしている者と傍観者に、絶望と後悔の念をもたらすことになるのならばな。
ただ、ラーネイレ…お前はそうは思っていないのだろう?」

ラーネイレ「あなたの気持ちはわかるわ。でも、私は最後の瞬間まで自分の意思で行動したい。
森を守るために、できる限りのことをしたい。
それが例え失敗に終わっても、後に希望の芽を残せるのなら。」



  • ザナン王室 -

サイモア「自らの故郷を滅ぼす気分はどうだ、ヴァリウス?
エウダーナはカルーンに常駐し、いつでも動ける状態だ。あとはただ、私の命令を待つのみだよ。」

ヴァリウス「…イェルスが参加を拒否したことは誤算です。
この戦は、皆が共謀者になることに意味があるのに。
しかし、侵攻に支障はないでしょう。ヴィンデールには、そもそも戦の用意などないのですから。」

サイモア「森が消えた後のことは、お前に任せる。私は姿を隠すが、この顔だ、長くは逃げ切れないだろう。
それでもいい。イルヴァに傷跡を残しさえすれば、私は満足だ。」


ヴィンデール


ロミアス「…あれは!森から火の手が上がっている。ザナンはもう侵攻を開始したのか。」

ラーネイレ「ロミアス、急いで、森へ!逃げ遅れている者や、留まっている者を森から避難させて。」

ロミアス「わかった。ラーネイレ、お前は?」

ラーネイレ「私はサイモアの元に行く。ここまできたら、説得なんて無意味かも知れない。
それでも、森の外に避難したエレアのために交渉を…せめて時間だけでも稼いでみせるわ。」

セビリス「私達もラーネイレに付き添おう。森が生きている限り、人間は中に入れない。」

ヴェセル「心配するな、ラーネイレ。サイモアの元に辿りつくまで、ザナンの兵には指一本触れさせない。」


ヴィンデールの最期


ヴァリウス「これはこれは、異形の森の魔女自らこんな場所へ、何の御用ですか?」

ラーネイレ「ヴァリウス、あなたは何てことを…サイモアはどこに?彼と話をさせて。」

ヴァリウス「あの方はもうここにはいない。どこに行かれたのかを知る者もいない。
作戦の指揮は私が取っています。
そして、残念なことに、私はいかなる話し合いにも応じるつもりはありません。」

ラーネイレ「放たれた炎はもう誰にも止められない。でも、森の外に出たエレアを攻撃するのはやめて。
私達は、抵抗するための武器さえ持っていない。」

ヴァリウス「交渉はしないと言ったでしょう。最も、私はあの方とは違う。
我々の邪魔さえしなければ、無意味に血を流す必要もありません。」



兵士「ヴァリウス様、森の中から救援信号があがっています。
恐らくは、煙に巻かれ方角を見失った部隊が、森の瘴気を吸い動けなくなっているのではないかと。」

ヴァリウス「森の中から?愚かな…その者達は放っておきなさい。
異形の森はまだ生きている。各隊に先走らぬよう伝令を。」

ラーネイレ「…信号が上がった位置を教えて。私が助けに向かう。」

ヴァリウス「ふふ、可笑しなことを。故郷を焼き、同胞の胸に剣を突き立てる者達を救うと?」

ヴェセル「行く必要はない。君は彼らが憎くないのか?」

ラーネイレ「腕を放して、ヴェセル。
こんな状況だから、私は行かなくては。例え互いに理解できない者同士でも、
憎しみと不信の壁を越える可能性を、捨ててはならないことを伝えるために。」

ヴェセル「頼む…行かないでくれ、ラーネイレ。君が森に入ってしまっては、もう守ることが出来ない。
私の胸に、あの日の苦しみを再度刻ませようというのか。」

ラーネイレ「今ここで彼らを見捨てれば、私は私でなくなってしまう。そして、あなたが愛したエリシェでも。
彼女があなたにもたらしたのは、悲しみだけではないはずよ。
さようなら、アルティハイトの白い鷹。その翼に負った傷に苦しみ、
今は涙に濡れていようとも、いつか再び飛べる日が来ることを祈っている。」



地の底で

ゼーム「ここまで辿り着くとはな…どうやら《混沌》は、自ら創りしネフィアの安定さえも望まぬらしい。
しかし、私とてここで死ぬつもりなどないのだ。」

ゼーム「愚かな!」
(PC死亡)
ゼーム「ふははははっ」
(ゼーム撃破)
ゼーム「ば、馬鹿な…!」



信じられない!あなたはネフィアの迷宮「レシマス」を制覇した!


謎の青年「お前がここに辿り着くことは」  台座から、何かの声が聞こえる。

謎の青年「決まっていたことなのだ…遅かれ早かれな」

部屋の空気が突然緊張し、あなたの前に端麗な青年が現れた。

謎の青年「我々からすれば、複雑性の一面に過ぎないが、人間は運命とでも呼ぶのだろう?」

あなたは懸命に脚の震えを抑えようとしたが、難しかった。
華奢に見える幼顔の男の影は、人のものではない。
あどけない瞳の奥に、あなたは底知れない力と闇を感じた。

謎の青年「ネフィアの永遠の盟約に基づき」青年は台座の横の死体を指し、皮肉な微笑を送った。
謎の青年「この哀れな老人が守っていたものは、今からお前のものだ」

あなたは、台座の上に置かれている絢爛な装飾の本を、いぶかしげに眺めた。


オルフェ「ああ、聡明なるレシマスの常闇の眼よ!
新しい主は、どうやらお前の本当の価値を知らないようだぞ。
…だが、心配しなくてもいい。この’プレイヤー’は、そこで死んでいる老人のように、
たまに本を開いては下界の嘘に満ちた歴史を嘲笑い、自己満足にふける以外の使い方を、
きっと見つけてくれるだろう。

(青年は見下したような笑い声をあげ、あなたに向き直った)
さあ、これ以上愚かな詮索の表情を続けて私を落胆させないでくれ。
お前が眺めている本には、真実の歴史を刻み、
過去の文明の歩みを記録する魔力が秘められていると知ったのなら。

そう。この本に書かれていることは、全て偽りなき歴史。
シエラ・テールの、そして過去の偉大なる文明の栄光と衰退の軌跡が記されている。
その価値を、わざわざ説明する必要もあるまい?

ひとつ警告しよう。台座から離れた時、それは魔力を失い、変哲の無い一冊の本と化すのだ。
新たな歴史が刻まれることはなく、正当性を証明するすべもなくなるだろう。

本を所有する者はまた、偽りの歴史を動かす勢力から、自らの命を守る必要にも迫られるだろう。
このアーティファクトには、それだけの価値があるということだ。
そしてお前には…エレアの風を聴く者と出会い、言葉を交じあわせたお前には…
それがどれほどの意味を持つことか、理解していなくてもだ…
そうだな、少なくとも我々を楽しませてくれるような使い方を期待しているよ。

もちろん、本を下界に持ち出すかどうかはお前次第だ…
少なくとも、選択という行為に、私が予期できない偶然がある可能性を、お前が信じるのなら。」

青年は悪戯っぽくニヤリと笑い、壁に寄りかかった。



…どれくらい時間がたっただろう。氷の瞳の男は、いつの間にか姿を消していた。
あなたは不安を振り払い、ゆっくりと本に手を伸ばした…



’プレイヤー’に祝福あれ!あなたは遂にレシマスの秘法を手にいれた!

…あなたの旅はまだ終わらない。


(オルフェに攻撃)
オルフェ「お前がこうする事を、予期していなかったとでも?」

(撃破)
オルフェ「こんな結末があるとは…」


エピローグ

 
《一つの冒険の終わりと、新たなる旅立ち》

ヴィンデールの森は失われた。
 
この朗報を聞いたイルヴァの民は
口々にザナンの皇子を称えたが
世界は徐々に、姿を変えていた。


各地で原因不明の病が広まり
作物は枯れ、乾いた風が吹き荒れた。
 
人々が異変に気付き始めた時
ザナンのヴァリウスは
戦禍を生き延びた一人のエレアの女を
議会の証言台に立たせた。


女は真実を語った。
 
異形の森と呼ばれたヴィンデールの森が
イルヴァの自然の均衡を保ち
メシェーラの力を抑えていたこと。
 
そして、森が失われた今
世界は長い時をかけて
人の住めない生態系に変わりつつあること。


イルヴァの民は証言に困惑した。
 
ある者は悲嘆にくれ、ある者は過ちを悔い、
他の多くの者は、いつもそうであったように
傍観者の態度をとった。
 
シエラ・テールに暗い時代が訪れた。

しかし、全ての希望がついえたわけではない。
 
ヴァリウスは言った。
イルヴァには、もう一つの異形の森が残されている。
それは奇しくも、サイモアがまだ第二の皇子だった頃
研究のために築いていたものだった。

かつてヴィンデールへの攻撃を先導したザナンは分裂し
ヴァリウスを指導者に据えた共同体ロスリアが生まれた。
 
ロスリアは森を育み、国家を超え
星への従事と平和を謳い
森に巡行する者は、病から解放された。


約束の地ロスリアは
イルヴァの理想郷となるはずだった。



  • 三年後 -



あなたは諸国を渡り歩き
今また、初めてこの地を訪れた時のように
ポート・カプールへと向かう商船の貨物に紛れ込んでいた。


三年の時は、多くの変化をもたらした。
 
イルヴァの大地に残された傷は深く
その悲しみは決して癒えないように思われたが
時が経つにつれ、街は賑わいを取り戻し
人々は悪夢を忘れてしまったのか
あるいは忘れたように振舞っていた。



ロスリアは腐敗した。
 
救いを手にし、多くの人と富を招いたロスリアは
イェルスを初めとする国々の利権に
翻弄されるようになった。
 
死に行く世界の中でさえ
イルヴァはロスリアの理想の下に結束することはなく
各国の思惑と陰謀と、新たなる紛争の気配に揺らめく暗雲が
大地を覆った。


一方、イルヴァの混迷の影では
あなたの孤独な旅が始まろうとしていた。


レシマスの真実の書の解読に
多くの時を費やしたあなたは
過去に誰にも知られていない空白の時代
ナーク・ドマーラが存在したことを発見した。
 
それは世界に混沌と魔法の力がもたらされ
ネフィアに隠された謎の鍵を握る時代だった。


ポート・カプールに降り立ったあなたは
懐かしいティリスの冷たい風を頬に受け
ゆっくりと歩き始めた。

あなたの前途には
ネフィアの永遠の盟約を巡る大いなる試練と冒険が
待ち受けているだろう。


Eternal League of Nefia
《第一部 完》



エンディング後



エリステア「私達は…失敗してしまったのですね、サイモアの陰謀を止めることに。
あなたが《常闇の眼》を入手するために冒した危険も、カラムの命も、
今となっては何の意味があったのでしょう。

ゆっくりと死に行く世界の中で、私達は無力感と罪を抱えて生きています。
森を忌み嫌い、あるいは迫害を見ぬふりをしてきた私達が、サイモアだけを責めることなどできません。
いっそのこと、あの時森とともに…

ごめんなさい、つまらないことを聞かせてしまって。
あなたは…あなたの目には…まだ希望の光が宿っている。
’プレイヤー’あなたはその運命の先に何を見ているの?」
          

スターシャ「王の死に続き、世界の崩壊の始まり…パルミアは…シエラ・テールは困難な時代にいます。
このまま、イルヴァは最後を迎えてしまうのでしょうか。」




アスールの秘法


(ロミアスの秘密の経験を引き継いでオープニング後)

ラーネイレ「この洞窟…雨をしのぐにはちょうどいいわ。ロミアス、危険がないか奥を調べて来て。」

ロミアス「わかった。ここで待っていろ」


何かは殺された。

乞食「ぐわぁ」


ラーネイレ「…今の音は? …ロミアス、大丈夫?」

ロミアス「ああ、問題ない。どうやらこの洞窟は昔、誰かが住んでいたようだな。
奥を見て来たが、今はもう使われていないようだ。」

ラーネイレ「そう、ならば都合がいいわ。…あら、あなた何を持っているの?
…キャーッ、プチじゃない!」

ロミアス「こいつらか?心配する必要はない。以前、人間にペットとして飼われていたのだろう、
ふふ…私によくなついているようだ。」

ラーネイレ「うふ!あなたにも優しいところがあるのね。
…来て。どうやら怪我人が意識を取り戻したみたいよ。」



夢…か… 

あなたは意識をとりもどした。



  • 最終更新:2014-02-08 19:52:58

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